| 600に続いて、降り止みそうな雨の中おこなわれた9時30分からの15分間のウォ-ムアップセッションでは、トップとは約2秒近い差の1分4秒919、14位であった。雨用のタイヤは水はけを良くするために溝が設けられているのだが、雨量に応じて数種類あり、また、タイヤメーカによって溝の形状も違う上、このセッションではマシンが走行するにつれて走行ラインが徐々に乾いた状態となっていったため、タイム差だけでは決勝レースの行方を占うことは難しかった。失意の600のレースを終えた辻村であったが、疲れを微塵も見せず、スタッフに状況を報告すると、気持ちを切り替えて、続いておこなわれる1000のレースのため準備を始めた。
600のレース終盤には霧雨状態であったが、1000のレースが始まる頃には小雨の状態に戻っていた。まず、スターティンググリッドへ付くためにコースを1周する際には、晴れ用の溝の無いスリックタイヤを使用した。天候の行方によって装着したタイヤの種類が勝敗を大きく左右するこのような状況下で、頭を悩ませていたのは我々だけではなかった。スターティンググリッド上では各チームがそれぞれの戦略に基づき、タイヤ交換およびそれに付随したマシンの調整をあわただしくおこなっていた。
勿論勝負であるから、ギャンブル的な要素を多分に含んでいた。我々はスリックタイヤに少量の溝を彫っただけの、カットスリックという、乾いている状況に一番近い雨天用のタイヤを選択し、交換してレースに臨んだ。現時点では路面は濡れていたが、レースが進行するにつれ乾いてくるであろうから、レース前半を我慢し、後半にスパートをかけようという戦略であった。
果たして、レース前半は予想通りラップタイムは遅く、トップグループから徐々に離されてしまった。しかし、レース中盤からはトップグループとのラップタイムの差はほぼ無くなり、レース後半には走行ラインが乾いてきたため、トップグループを上回るラップタイムで走行し、前半に築かれたトップとの差を埋めていった。ただ、我々の誤算は路面が乾きだすタイミングであった。走行ライン上の路面が乾きだすのが我々の予想よりも遅く、我々の戦略は失敗に終わったのである。結果はポイント圏外の21位で、ランキングは12位に後退してしまった。
総監督 藤井正和
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